星尾温泉

温泉について

温泉開業までの物語

古民家群と石垣景観が残る星尾集落

群馬県の西南部に位置する南牧村(なんもくむら)は、長野県との県境にあり、標高800mから1500mの山々に囲まれた山村です。村の最奥にある星尾集落は、築100年以上経つ伝統的建造物(カズ掛け造り)の古民家群と、石積の段々畑や石垣の景観が保たれており、日本の原風景が色濃く残る山村集落です。

かつては養蚕、コンニャク生産、林業で栄えたこの村も、今では高齢化日本一の村となりました。星尾集落も、今は子供一人いない70代~80代の高齢者だけが残る限界集落となり、このままでは集落が消滅してしまいます。

 

木の葉石を形成する温泉を復活

こうした危機感から、集落に活気を取り戻す方法として、かつて集落の銭湯として使われていた「塩水鉱泉(地元名)」を復活させようと村人と村外の有志が集まり、温泉復活プロジェクトを立ち上げました。

 

この温泉は、昭和25年まで集落の銭湯として利用され、村人の憩いの場として賑わっていたそうです。おそらく数千年前から湧き出ていると推測される塩水鉱泉は、泉質だけではなく、地質学的にも注目される資源です。集落に残されている大正2年の文書「鉱泉発見ノ由来」によると、「木の葉が水に入ると、瞬時に化石様になり奇異なる現象を起こす」と、木の葉石の湯の由来が書かれています。また、浴用、服用によって十二指腸潰瘍など多くの病気に効果がある霊泉として、「天然の奇跡を世に紹介し、保養湯として温浴療のできる設備を施し開場する」とも記されています。さらに、昭和12年には木の葉石(正式名:石灰華)の分析依頼書を、当時の村長である佐々木儒太郎名義で内務省衛生試験所に提出した記録もあります。

石灰華とは、噴泉水が多量の炭酸カルシウムを含む場合、炭酸カルシウムが沈殿した塊のことで、水の流れをせき止め、皿状の小池を作ります。これが何段にも積み重なって生まれる地形を「石灰華段丘」と呼びます。木の葉石もこれと同様のもので、現在、温泉が湧き出る沢に、石灰華の段丘が形成されていますので、近い将来見学できるように整備する予定です。

景観維持と環境への負担軽減を両立

温泉建設にあたっては、景観維持と、環境への負担軽減の両立を考慮しました。施設は築200年の古民家をお借りしました。片付けから床の貼り替え、浴室の増築、台所と食堂の整備、源泉からの配管、ボイラー設置まで、改修工事をプロ職人の手を借りずに全て手作業(DIY)で進め、少ない資金で完成させました。

燃料は廃材と薪ボイラーを利用しました。薪ボイラーの購入資金を調達するため、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を通じて一般から支援金を募ったところ、予想を超える多くのご賛同をいただき、達成率116%と目標を大きく上回る成果をあげることができました。

若者が定住できる雇用創出に向けて

星尾の山村景観のイメージ今後は休憩室や多目的ギャラリーを設置し、来場者と村人の交流の場を作る計画です。これにより若者が定住できる雇用創出をめざしています。

ここには日本の原風景があります。空気がさわやかで水が美味しく、夜には無数の星がまたたきます。集落は急な斜面に作られ、何段にも積まれた段々畑の石垣の上には、築100年超の旧養蚕農家の建物が数多く残り、今も人が住んでいます。標高が高いため、4月中旬には色とりどりの花が一斉に咲きます。ぜひ「星尾温泉 木の葉石の湯」においでになり、歴史ある風景と、ゆっくりした時の流れを感じてください。

泉質と効能

温泉の泉質

ナトリウム・カルシウム 炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉(低張性中性冷鉱泉)

温泉の効能

神経痛、筋肉痛、関節の痛み、腰痛、冷え性、切り傷、やけど、慢性皮膚病、胃腸病、疲労回復、健康増進

「木の葉石の湯」の由来

「星尾温泉 木の葉石の湯」は、温泉成分に含まれる炭酸カルシウムが石に付着した木の葉を凝固させることから、村人が古くから使ってきた親しみある呼称です。源泉付近では、沈殿した炭酸カルシウムが水の流れをせき止め、小池が何段にも積み重なる「石灰華段丘」が見られます。赤みがかかった黄金のような湯は、体がポカポカと温まり、肌がスベスベになる美肌の湯です。

薪ボイラー

薪ボイラー源泉を湧かす薪ボイラーには、燃焼機器メーカーのモキ製作所(本社:長野県千曲市)の無煙薪ボイラー「MBG250」を使用しています。この薪ボイラーは燃焼効率に優れ、竹を燃料にできるのが特長です。

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